トイレ、詰まらせた。
小学校のころ「 フローラル 」とあだ名をつけられて以来、人付き合いの苦手な私です。男子も得意じゃないけれど、特に女子が顕著。
が、トイレの便器とだけは結構すぐ仲よくなれます。
吐くほどお酒飲んで抱きついても文句ひとつ言わないし、黙って話し聞いてくれるし。
最初は冷たいヤツと思っていましたが、波長が合うのかな。いまじゃ気の置けない仲です。
お便器パニック
で、トイレ、詰まらせた
生まれてはじめてトイレ詰まらせたんですよ。しかも職場で。
あなた想像できますか?
流した水が瞬く間に便器いっぱいになっていくさまを見守る絶望感。
便器いっぱいになみなみと溜まったところでとまったけど、めっちゃドキドキした。
中学校のときカワイイ女子に恥じらいながら放課後の呼び出しくらったときくらいドキドキした。結局誰も来なかったけど。
名誉のために言わせていただきたいんですけど、詰まらせたのは私ではない。決して私ではない。
だって私はうんこしてないから!っていうかウンコとしかないから私!
前の人が詰まらせて放置したに違いない!前の人が悪い!
とはいえ明らかに詰まっているこの状況。
完璧に詰まったわけではないようでしばらく放っておくと水位は下がっていくのですが、試しにもう一度流してみるとまたあふれそうになる……!
これまたあとちょっとで便器からあふれる、ってところで止まる。うおおこえええ。
よく踏みとどまってくれたマイベストフレンド……!
男子最大の不名誉、うんこ野郎が脳裏をよぎる
ベストフレンドはなんとか耐えてくれているが、とはいえこの状況、ピンチには違いありません。
私の中に選択肢は三つある。
- 助けを呼ぶ。
- 現状維持。つまり放置して逃亡。
- 一人孤独に気合と根性で直す。
まずですね、助けを呼ぶはマズイ。間違いなく私がトイレを詰まらせたと思われてしまう。
するとどうなる? 超不名誉なあだ名がつくんですよ。一時の恥ずかしさではない、一生ものの不名誉を被ることになるのです。
女性にはあまり覚えがないかもしれませんが、男の世界には「 うんこするヤツ 」ってレッテルでマウントを取る風習があるのです。
助けを呼んだら私が戴くであろう不名誉なあだ名の候補が愚鈍な私の脳の処理速度でも、0.000001秒でこれだけ思いつきました。
うん……シンプルに
うんこマン
が一番傷つくかな……
いやマジでうんこマンはないわ。
男にとってこれほど不名誉な称号はない。
すごく2番目の選択肢に心を惹かれる。
「ここは俺に任せて先に行け! なあに、すぐに追いつくさ」
おお、友よ……!君をおいて私だけ逃げろというのか……!
いやホント追いつかれても困るんだけれども。
やらねばならぬ、なさねばならぬ
結果、私は第三の選択肢を取ることに決心しました。
純白の陶器のような、この美しき友情を見捨てるワケにはいかない。
しかし素早くこなさなければならない。私が席に戻らないことを同僚は不審に思うだろう。
もしかしたら捜しに来るか、そうでなくても尿意や便意に襲われてトイレを訪ねてくるかもしれない。そうなれば一巻の終わり。
マイベストフレンドは仕事のできない残念な便器野郎と呼ばれ、詰まらせた私は世にも不名誉な称号を贈られるであろう。
ああ、口にするのもはばかれる……!
許し給え神よ! って吾輩が神なんだけど……
もう紙なんか使わないから、おしりなんて拭かないからーーーーっ!!!
もう二度と職場のトイレでうんこなんかしないと固く誓いながら。
いままさに、叩かれる扉を無視しながら、詰まった便器と格闘中です。
トイレ、詰まらせた(現在進行形)。